隘
あい
名詞
標準
文例 · 用例
外にのみ走りて浅薄になる虞あると共に、内にのみ潜みて狭隘となる嫌がある。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
然るに私の奉ずる神学とは然く狭隘なるものではない。
— 宮沢賢治 『ビジテリアン大祭』 青空文庫
しかしその谷に当ったところには陰気なじめじめした家が、普通の通行人のための路ではないような隘路をかくして、朽ちてゆくばかりの存在を続けているのだった。
— 梶井基次郎 『ある崖上の感情』 青空文庫
そうしてその指揮者の頭がよほど幅員が大きく包容力が豊かでなければ、結局|狭隘な独吟的になるか、さもなくばメンバーのほうでつまらなくておしまいまでやり切れないであろうと思われる。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
芭蕉去って後の俳諧は狭隘な個性の反撥力によって四散した。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
かくて狸穴の辺なる狭隘路に行懸れば、馬車の前途に当って往来の中央に、大の字に寝たる屑屋あり。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
この一条の水路は甚だ狭隘にしてかつ甚だ不潔なれども、不潔物その他の運搬には重要なる位置を占むること、その不快を極むるところの一路なるをも忌み厭ふに暇あらずして渠身不相応なる大船の数※出入するに徴して知るべし。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
この一条の水路もまた不潔と狭隘とを以て人の厭ふところなるが、これまた湿気排除のためと漕運の便とのために重要の一路たらずんばあらず。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫