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上風

うわかぜ
名詞
1
標準
文例 · 用例
この句を読むと、田舎の閑寂な空気や、夏の真昼の静寂さや、ひっそりとした田舎家の室内や、その部屋の窓から見晴しになってるところの、広茫たる一面の麦畑や、またその麦畑が、上風に吹かれて浪のように動いている有様やが、詩の縹渺するイメージの影で浮き出して来る。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
また「上風に」のに、「音なき麦を」のをが、てにをはとしての重要な働きをして、句の内容する象景を画いてることは言うまでもない。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
一方では、堂上風の口たるい小細工歌が流行り、一方では古学派のわざとらしい万葉調の真似手の多いなかに、敢然立つて常情平述主義を唱へ「ただ言歌」の旗印を高く掲げた才一方の年上の老友がうらやまれた。
岡本かの子 上田秋成の晩年 青空文庫
この料理店自慢の鳥に詰物をした料理を給仕男が持って来たが、こういう卓上風景には馴れて居るので音を立てぬようにそっと行って仕舞った。
岡本かの子 ドーヴィル物語 青空文庫
后の宮、両大臣家の大|饗宴なども済んで、ほかの催し事が続いて仕度されねばならぬということもなくて、世間の静かなころ、秋の通り雨が過ぎて、荻の上風も寂しい日の夕方に、大宮のお住居へ内大臣が御訪問に来た。
乙女 源氏物語 青空文庫
上風波の難に遭へる時、若干の油を取りて航路に澆げば、浪は奇くも忽ち鎮りて、船は九死を出づべしとよ。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫
杜子美玉露凋傷楓樹林巫山巫峽氣蕭森江間波浪兼天涌塞上風雲接地陰叢菊兩開他日涙孤舟一繋故園心寒衣處々催刀尺白帝城高急暮砧 この詩、五句目にある兩開とは、兩年の秋に開くの意であり、他日の涙とは過ぎし日の涙の意である。
島崎藤村 桃の雫 青空文庫
溶々たる隅田川の流れ、櫻の葉越しに見えて、樓上風いとすゞし。
大町桂月 月の隅田川 青空文庫