踏み直す
ふみなおす
動詞
標準
文例 · 用例
仕方のない時は、中途で拝殿へ上って来て、いろいろすかしておいて、また御百度を踏み直す事もある。
— 夏目漱石 『夢十夜』 青空文庫
足を踏み直す音が二三度ゾロゾロとしたと思うと、又シインとなってしまった。
— 夢野久作 『幽霊と推進機』 青空文庫
そこで、いったん美濃路へ入った人が、また改めてわざわざ近江の国へ逆戻りをして、足を踏み直すというようなことをする、そのおまじないのためには、この寝物語の里が誂向きの地点になっていました。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
今の為事をやめてしまって、さてその自分にすぐ新しい人生を踏み直す気力があるかどうか自分自身にも分かっていない事に気づくと、こんどは所長の勧告に従って、暫く何処かへ行って養生して来よう、そうしたら自分の考えも変るだろうと、咄嗟に思いついたのだった。
— 堀辰雄 『菜穂子』 青空文庫
「あら、違つてよ」といふその眼つきに、惶てゝ歩を踏み直す時など、わたくしの心は暗くなつた。
— 岸田國士 『カルナツクの夏の夕』 青空文庫
「こいつは餘つ程仔細がありさうだな、八」 平次も、ことの容易ならぬ樣相に、スタートを踏み直す心持になりました。
— 鐘の音 『錢形平次捕物控』 青空文庫
」「そしてお互いに許し合って、もう一度スタートを踏み直すことだ、俺も、君も、まだ年取ったわけではない」「私も――旦那様」 美奈子は重傷も忘れてベッドの上に起直っていたのです。
— 運命の釦 『奇談クラブ〔戦後版〕』 青空文庫
連れがあると聞いて金右衛門は、いよいよこいつ油断のならない小僧、斬るべきか、手捕りにすべきか、それともどうしてやろうかと、思案をしながら、取敢えずポンと野槍の柄を押ッ放すと、「あっ」 と次郎はうしろへよろけて、その足元を踏み直すや否、奮然、獅子の子のように髪逆立ててまいりました。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫