濡板
濡板
名詞
標準
文例 · 用例
―― 濡板敷のすべる足もとに近い一箱を透かすと、小魚が眞黒に瀬を造る。
— 泉鏡太郎 『深川淺景』 青空文庫
」 逞くましい体格の黒眼鏡が、濡板と、研ぎすました短刀をひっ提げて這入って来た。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
そして抛り出した濡板の上に、短刀を突っ立てた。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
」 と、二つ三つ言い争った揚句、支那服が濡板の上に犬をひきずり上げた。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
」「え、どうぞ」「出来上がるまで、上って休んでいなよ」 もうこの時、鮮かな支那服の短刀で動脈を切り開かれた濡板の犬は、まるで洗濯物のように胴なかを揉みしぼられていた。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
赤い生血が、小気味よく切口から溢れ奔って、それが濡板を染めて、五寸四方位の大きさに掘り抜かれた穴に流れ込んでいた。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
」 血がすっかり絞り取られると、犬はぐったりと濡板の上に伸びて、毛並すらも青ばんでゆくように感ぜられた。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
と、支那服の手が、その溢れ出た臓腑をかき分けて、胸骨の間に辷り込んで、二三度胸壁を指さきで抉ぐると、綺麗に二つの肺臓がはがれて、肝臓や胃袋などと一緒くたに濡板の上に掻き出された。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫