綺談
きだん
名詞
標準
文例 · 用例
この人の捕物綺談は山のように遺っていて、先ず、この「自殺室事件」もその一つなのだが、いま専門的に人体測定学と呼ばれている一分野を、一般人類学から分離して、法医学の立派な一部門として確立したのは、このベルチョン博士である。
— 牧逸馬 『ロウモン街の自殺ホテル』 青空文庫
三 白い糸 徳冨蘆花に、『外交綺談』という著書がある。
— 国枝史郎 『今昔茶話』 青空文庫
それに、第一、それだけの筋では、探偵小説にはならない(その『外交綺談』は、探偵小説集なのであった) それにもかかわらず、この物語が、三十年以上も、僕のアタマにつき纏っていて、何か小説でも書こうとすると、きっと、アタマの隅へ浮んでくる。
— 国枝史郎 『今昔茶話』 青空文庫
ところが、幾度となく、その『外交綺談』を、神田辺の古本屋や、夜店の見切物の古本屋で見かけるのであるが、買おうともせず、読返そうともしない。
— 国枝史郎 『今昔茶話』 青空文庫
馬琴の悲劇は、モラルの本質がそういうものであったから、支那文学の影響も稗史小説、綺談等からうけ荒唐無稽的となり文学の一面で当時の卑俗さと結びついています。
— 一九四三年(昭和十八年) 『獄中への手紙』 青空文庫
「それが今ごろまでそのまんまあるものかしら」 押川春浪の綺談めいた物語に伸子はうす笑いの口元になった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
市井風俗の饒舌に飽き又自然主義的なプロレタリア文学に退屈した一部の作家、評論家は、「浪曼的な色彩を今日の文学に付さねばならぬ」「たとえば佐藤春夫氏の『星』や『女誡扇綺談』等の作品に流れる世間への憤懣の調べ、川端康成氏の描く最もほのかに美しい世界、あるいは僕らの同じ心の友だちの……。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
ホフマンの「カロオ風の綺談」でもあるまいし、二人の警視総監が東京の中央と南に同時に出現したなどというのは、あまりに幻想的でちょっと信用しにくい。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫