儲君
儲君
名詞
標準
文例 · 用例
翰林学士の劉三吾、御歎はさることながら、既に皇孫のましませば何事か候うべき、儲君と仰せ出されんには、四海心を繋け奉らんに、然のみは御過憂あるべからず、と白したりければ、実にもと点頭かせられて、其歳の九月、立てゝ皇太孫と定められたるが、即ち後に建文の帝と申す。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
懿文太子の薨ずるや、身を挺んでゝ、皇孫は世嫡なり、大統を承けたまわんこと、礼|也、と云いて、内外の疑懼を定め、太孫を立てゝ儲君となせし者は、実に此の劉三吾たりしなり。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
安永七年三月|朔に十五歳で渋江氏に養われて、当時|儲君であった、二つの年上の出羽守|信明に愛せられた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
一は蘭軒の主家に於て儲君阿部寛三郎|正寧の叙位任官の慶があつたことである。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
」門田朴斎は江戸にあつて儲君阿部正弘の侍読をしてゐたが、遠く思を水西荘に馳せて、「遙思三面闢窓処、寂寞迎春梅影疎」と云つた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
三月十七日に棠軒は福山を発して広島に往き、五月二十日に儲君|正桓を奉じて還つた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
而してこれと同時に、その反対者たる尾張、水戸、越前に蟄居を申付け、一橋慶喜の登城を差留め、いわゆる攘夷党、水戸派、もしくは一橋を儲君とするの派、その他自家の反対党と目指すものはその諸侯と幕臣たるとを問わず、尽くこれを黜罰したり。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫
而してこれと同時に、その股肱間部詮勝を京師に遣わし、以て朝廷の意見を飜えし、以て公卿中の非和親論者を威嚇し、而して京都にある横議の処士、重なる攘夷論者、及び水戸派、一橋立儲君派らを拘留せしめ、以て安政大獄の端を啓けり。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫