隻手
せきしゅ
名詞
標準
one hand
文例 · 用例
戸野氏は隻手の声だの父母未生以前だの因縁所生の身。
— 岡本かの子 『智慧に埋れて』 青空文庫
艦橋には艦長松島海軍大佐をはじめとし、一團の將校は月に燦爛たる肩章に波を打たせて、隻手に握る双眼鏡は絶えず海上を眺めて居る。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
」 と衣兜を探りて、金光|燦燗たる時計を出だし、恭しく隻手に捧げて遥に新開地に向い、陋み嘲けるごとき音調にて、「そらこれだ、これだ。
— 泉鏡花 『金時計』 青空文庫
隻手を拂つて火の箭を斬れ。
— 泉鏡太郎 『麻を刈る』 青空文庫
――閨、いや、寢床の友の、――源語でも、勢語でもない、道中膝栗毛を枕に伏せて、どたりとなつて、もう鳴きさうなものだと思ふのに、どこかの樹の茂りへ顯はれない時は、出來るものなら、内懷に隻手の印を結んで、屋の棟に呼びたい、と思ふくらゐである。
— 泉鏡太郎 『木菟俗見』 青空文庫
僧も村の人の後から谷へおりて往って岩の端に仰向き、菅笠を水に濡らさないようにと隻手を笠の縁にかけて、心もち顔を反らしながら口を流れに浸していた。
— 田中貢太郎 『岩魚の怪』 青空文庫
其の物音に平太郎は、妖怪が蹄にかかったであろうとおもって、隻手に手燭を点け隻手に刀を執って庭へ出てみると、重兵衛が垣根の傍へ倒れて気絶していた。
— 田中貢太郎 『魔王物語』 青空文庫
お勝は襲いかかってくる暴漢を払いのけるように、隻手をその方にやって一方の手で起きようとした。
— 田中貢太郎 『放生津物語』 青空文庫
作例 · 標準
隻手の拳法使いとして知られる彼は、片腕とは思えない圧倒的な速さで相手を制した。
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「不慮の事故で隻手となったが、それゆえに得られた境地もある」と老師は語った。
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隻手でありながら巧みに農具を操る彼の姿に、村の人々は敬意を払っていた。
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