木魂
もっこん
名詞
標準
文例 · 用例
思いがけなく、落葉松の森林から鐘が鳴った、小刻みな太鼓が木魂のように、山から谷へと朝の空気を震撼した。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
ハッパは、昼夜を分たず、天龍谿谷に木魂して、深い眠の枕を持上げる。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
ドーン、ドドーン、バーン と天龍の川を挟む両岸の絶壁に木魂して古畳を突き倒し、穴を明け、時には四五間も空へ押し上げるのだった。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
が、答へるのは自分の聲の木魂ばかり‥‥。
— ――スウェーデンの殺人鬼―― 『死の接吻』 青空文庫
若い木魂は逃げて逃げて逃げました。
— 宮沢賢治 『若い木霊』 青空文庫
その音の木魂のやうに、また夫から手紙が來た。
— 梶井基次郎 『川端康成第四短篇集「心中」を主題とせるヴァリエイシヨン』 青空文庫
思うにこの役者は「木魂」のお化けをかなりに深く研究したに相違ないのである。
— 寺田寅彦 『化け物の進化』 青空文庫
大森林の木魂を驚した響きはやがて入江の波上に鳴り渡り、曉天數里の郡内に傳はつた。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫