硝子窓
がらすまど
名詞
標準
文例 · 用例
ふるいふるい記憶のかげでどこかの波止場で逢つたやうだが菫の病鬱の匂ひがする外光のきらきらする硝子窓からああ遠く消えてしまつた 虹のやうに。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
これらの詩篇に於けるイメーヂとヴイジヨンとは、涙の網膜に映じた幻燈の繪で、雨の日の硝子窓にかかる曇りのやうに、拭けども拭けども後から後から現れて來る悲しみの表象だつた。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
そして腐つた海水だけが、埃つぽい日ざしの中で、いつも硝子窓の槽にたまつてゐた。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
日暮の光線は硝子窓を通して、侘しく床の上に流れて居ます。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
長屋の硝子窓に蠅がとまつて、いつでもぶむぶむとうなつてゐる。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
長屋の硝子窓に蠅がとまつて、いつまでもぶむぶむとうなつてゐる。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
大きな硝子窓越しには遠くに雨雲のよどんだ夏の無月の空が、潤みを持つた紺碧の色に果てもなく擴がつてゐた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
木製の頑丈なベッドが南枕で四つ並んでいて、僕のベッドは部屋の一ばん奥にあって、枕元の大きい硝子窓の下には、十坪くらいの「乙女ヶ池」とかいう(この名は、あまり感心しないが)いつも涼しく澄んでいる池があって、鮒や金魚が泳いでいるのもはっきり見えて、まあ、僕のベッドの位置に就いては不服は無い。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫