嚢
のう
名詞
標準
文例 · 用例
彼れは衣嚢から卷煙草を出して火を摺りながら、四方を建物で圍はれた中庭に眼をやつた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
見學者の中にも欠呻をしながら、患部の切片を入れたガラス瓶を衣嚢にしまつて、そろ/\歸仕度をするものがあつた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
而して手術衣を脱がうとするとその衣嚢の中でかちつと堅いものにぶつかり合ふ音を聞いた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
彼れは何げなく衣嚢に手を突込んで指先きに觸れたものをつかみ出して見ると、それは解剖臺から持つて來た四つのガラス瓶だつた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
その雨の中を漂ひながらいつだか消えてなくなつた、あの乳白の※嚢たち……今や黒い冬の夜をこめどしやぶりの雨が降つてゐて、わが母上の帯締めも雨水に流れ、潰れてしまひ、人の情けのかずかずも竟に蜜柑の色のみだつた?
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
月見草の花が白い、カケス畑を知らぬ間に過ぎて、自動車はスケッチ帳入りの小嚢を手に下げた茨木君と私と長男隼太郎外、強力一人を大野原に吐き出して、見送りのため同乗せられた大山さんと、梅月の主人をさらって、影を没してしまう。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
本田家の当主は、家族の者と主治医とに守られて、陶製のもののように、何も考えることも感じることも出来なくなった頭を、氷枕と氷嚢との間に挟んでいた。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
「フォア、ピーク(おもての空気室――船の云わば浮嚢――)のガットを開けろ。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫
ウィキペディア
『嚢』(ふくろ)は、手塚治虫による日本の短編漫画。ホラー色が加味されたミステリー調の話で、『漫画サンデー』(実業之日本社)1968年5月10日増刊号に掲載された。
出典: 嚢 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0