船楼
せんろう
名詞
標準
文例 · 用例
三 紅がら色の帆に、まんまんたる風をはらんだ呉服船はいま、能登の輪島と七つ島の間をピュウピュウ走っている―― カーン カーン カーン…… 船楼の鐘。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
ひょいと仰向いてみると、船楼の櫓に腰かけている頭領の龍巻と、いま下にいた呂宋兵衛。
— 吉川英治 『神州天馬侠』 青空文庫
「山のごとく飾り立て」とあるのは船楼や艫に、旗幟だの鑓や熊手を植えならべて進んで行ったものであろう。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫
けれど、船楼の一間は、あたかも本丸|住居の一部屋を、そのまま移して来たように、衣桁もあれば金屏風もあり、蒔絵の文棚、小鼓、香炉、火鉢、褥、膳具酒器など、ないものはなかった。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫
眼はさめても、なお意識まではさめきれず、血管のなかにはまだ夜来の酒気もそのまま香っているかのような夢中と現身の境に、彼の脳裡には、南方の島々や高麗の沿海や、ゆくてに大明国をさしている大船列や、その船楼に立つ自分のすがただの、宗及や宗室のすがたまでも描かれていた。
— 第七分冊 『新書太閤記』 青空文庫
船楼をつつむ軍幕には、杜若の大紋がはためき、武者囲いの蔭には、銃身や槍の穂先が林立していた。
— 第九分冊 『新書太閤記』 青空文庫
」 丹羽五郎左衛門長秀は、船楼に立っていたが、ふと湖北に連なる一山から立ち昇る黒煙に、思わず声を大にして、左右へ訊ねた。
— 第九分冊 『新書太閤記』 青空文庫
何かのことども、江戸表へ立ち廻った節|上屋敷の重役どもに、計ろうて貰うがよい」と座を立って、三位卿と共に船楼の欄に立つ阿波守。
— 上方の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫