焼棄
しょう棄
名詞
標準
文例 · 用例
何となれば『詩の原理』は、前に焼棄した『自由詩の原理』を、その一節自由詩論の中に包括し、大体にわたって論説を尽しているから。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
――そんな気はちっともなかった――ただ、畝どなりの廃畑をよく見ると、畳五枚ばかりの真中に、焼棄の灰が、いっぱい湿って、淀んで、竹の燃えさしが半ば朽ちて、ばらばらに倒れたり、埋れたりしています。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
大方焼棄てるか如何かしたのであらう。
— 徳田秋聲 『背負揚』 青空文庫
先達而から頻に手紙を寄来すが、あれは一通でも開封したのは無い、来れば直に焼棄てて了ふのだから、以来は断じて寄来さんやうに。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
実はこの抜萃記録は吾輩の「心理遺伝論」の中に挿入しようと思っていたものであるが、そんな論文の原稿は最前すっかり焼棄てたけれども、特にこの一部だけは残しておいたものだ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
すなわち如月寺の縁起文の中では、呉虹汀の手で焼棄てられた事になっている絵巻物が、実は焼棄てられていなかった……ツイこの間まで御本尊の胴体の中に厳存していたのみならず、それを最近になって何者かが発見して、どこかへスッパ抜きに持って行ってしまっているに相違ない事実が発見されたのだ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
……それを見ると又、その焼棄てられたという絵巻物が惜しくて惜しくてたまらないような気がしましたので、何心なく本堂に来て、御本尊様をゆすぶって見ますと、どうでしょう。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
そうしてコンナ書類を残らず焼棄て、玉無しにしてくれよう。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫