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寿々

すず
名詞
1
標準
文例 · 用例
」 出る先へ立って、お神は銀子の寿々龍にそんなことを言って聞かせたが、そういうものが一人現われたのは、この土地にも春らしい気分が兆しはじめ、人馬も通えるように堅く張り詰めた河の氷もようやく溶けはじめたころで、町は選挙騒ぎでざわめき立っていた。
徳田秋声 縮図 青空文庫
」 するとある時倉持の座敷へ呼ばれ、料亭のお神が、主人を呼んで来いというので、寿々龍の銀子はお神を迎えに行き、お神が座敷へ現われたところで、三人のあいだに話が纏まり、倉持が銀子のペトロンと決まり、芸妓屋へ金を支払うと同時に、月々の小遣や時のものの費用を銀子が支給されることになり、彼女も息がつけた。
徳田秋声 縮図 青空文庫
寿々龍の銀子は座敷も暇を喰うようなことはなかったにしても、倉持に封鎖されてからは、出先でも遠慮がち――というよりも融通の利く当てがなくなったところから、野心ある客にはたびたびは出せず、自然色気ぬきの平場ということになり、いくらかのんびりしていられるので、読もうと思えば本も読めないことはなかった。
徳田秋声 縮図 青空文庫
主人夫婦は電話で呼ばれ、訴訟上の要談で、弁護士の家へ行っており、婆やは在方の親類に預けてある子供が病気なので、昼ごろから暇をもらって出て行き、小寿々はお座敷へ行っていた。
徳田秋声 縮図 青空文庫
」 玄関わきの廊下から、声をかけるものがあるので、寿々龍の銀子は目をさまし、振り返って見ると、それが倉持であった。
徳田秋声 縮図 青空文庫
」 寿々廼家のお神も言っていたが、銀子にはちょっと見当もつきかねた。
徳田秋声 縮図 青空文庫
倉持がくれた指環をとにかく預かることにして、紙にくるんでそっと鏡台の抽斗に仕舞っておいたが、そのころからまた一層親しみが加わり、彼は帰ることを忘れたように、四日も五日も引っかかっていることがあり、寿々廼家のお神も少し薬が利きすぎたような感じで、いくらか銀子を牽制気味の態度を取るのであった。
徳田秋声 縮図 青空文庫
銀子は二月ほど前に、千葉で結婚をし損なった栗栖が、この土地の病院の産婦人科の主任となって赴任したことを知っていたが、わざと寿々廼家のかかりつけの、個人経営の医院で手術を受けることにした。
徳田秋声 縮図 青空文庫