悟得
ごとく
名詞
標準
文例 · 用例
具体性に富んだ意味は厳密には悟得の形で味会されるのである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
…… 何をか試むる、と怪んで、身を起し汀に立つて、枯蘆の茎越に、濠の面を瞻めた雪枝は、浮脂の上に、明かに自他の優劣の刻み着けられたのを悟得て、思はず……『はつ、』と歎息した。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
飽くまで悟得のおのれの謎の地に伏せて、外界との和へは自然の調熟に待ちましょう。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
孔子の道は、先王の道・礼楽の道・文化の成就・人間世界の慶福を建立しようとするものであるから、その学問に於いて悟得会得は有るにしても、桶の底が脱けて水が一時に出尽すように悟りを開くなどということは、有るものではない。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
歐米革命論ノ權威等悉ク其ノ淺薄皮相ノ哲學ニ立脚シテ終ニ「劒ノ福音」ヲ悟得スル能ハザル時、高遠ナル亞細亞文明ノ希臘ハ率先其レ自ラノ精神ニ築カレタル國家改造ヲ終ルト共ニ、亞細亞聯盟ノ義旗ヲ飜シテ眞個到來スベキ世界聯邦ノ牛耳ヲ把リ、以テ四海同胞皆是佛子ノ天道ヲ宣布シテ東西ニ其ノ範ヲ垂ルへシ。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
第二ノ理由ハ其ノ中食ニ一塊ノ「パン」薩摩芋麥ノ握飯等ノ簡單ナル粗食ヲナサシメ、以テ滋養價値等ヲ云々シテ眞ノ生活ヲ悟得セザル科學的迷信ヲ打破スルニアリ。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
大領土ヲ有スル名實具足ノ大日本帝國ヲ考フル者此ノ三大原則を確立スル日本自ラノ改造ガ實ニ將來ノ建設ニ避ク可カラザル準備ナルヲ悟得スベシ。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
その癖心は絶えず反対の幸福を望み、人に勝つことを心がけ、負けると人の急所を眺めて心を沈め、あらゆる凡人の長所を持ち、心静かに悟得し澄ましたような顔をし続けてひそかに歎き、闘いを好まず気品を貴んで下劣になり、――私は私自身でまだかまだかと私をやっつけ出すと、面前のリカ子と一|緒に兇暴に笑い出した。
— 横光利一 『鳥』 青空文庫