思い草
おもいぐさ
名詞
標準
文例 · 用例
……これは何か重たい刃物か何かの柄を、抜けないように嵌込た証拠らしいぞ……そう思い思い草川巡査は、自分が犯人であるかのように青褪めた、緊張した表情で、そこいらを見まわした。
— 夢野久作 『巡査辞職』 青空文庫
そのとき、また逢うまでの思い草に舞扇を預ったが、それこそ秋の扇となりはてて、その後は風の便りもない。
— 久生十蘭 『鈴木主水』 青空文庫
また逢うまでの思い草に、そちから扇を貰ったと言っている」「聞きました」「町方にいるとき、そちと踊の朋輩だったそうな」「そう申しておりました」「庭先へ蹴落してくれよう。
— 久生十蘭 『鈴木主水』 青空文庫
「これをよく見て行き給え、これが“尾花がもとの思い草”というものだ。
— 柳田国男 『故郷七十年』 青空文庫
思い草というのは『新古今集』などにたくさんうたわれていて、たしか和泉式部のうたに、野辺みれば尾花がもとの思ひ草枯れゆく冬になりにけるかなというのがあった。
— 柳田国男 『故郷七十年』 青空文庫