転宿
てんしゅく
名詞
標準
文例 · 用例
「けれども君は、かの後の事はよく知るまい、まもなく君は木村と二人で転宿してしまったから……なんでも君と木村が去ってしまって一週間もたたないうちだよ、ばあさんたまらなくなって、とうとう樋口をくどいて国郷に帰してしまったのは。
— 国木田独歩 『あの時分』 青空文庫
鸚鵡の一件で木村は初めてにがにがしい事情を知って、私に、それとなく、言葉少なに転宿をすすめ、私も同意して、二人で他の下宿に移りました。
— 国木田独歩 『あの時分』 青空文庫
捨てたものにしづかな雨ふる 六月七日 木下旅館(三〇・上)転宿、チヨンビリ帰家穏座のこゝち。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
その頃わたしは神田に下宿していたんですが、何分にも周囲がそうぞうしくって、いよいよ神経を苛立たせるばかりだと思ったので、さらに小石川の方へ転宿して、その翌年に第二回の試験を受けると、これも同じ結果に終りました。
— 岡本綺堂 『白髪鬼』 青空文庫
榎本君はその年の秋からひとまず歌舞伎座を退いて、『やまと新聞』に入社することになったので、築地の家を去って他に転宿した。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
瀬川|丑松が急に転宿を思ひ立つて、借りることにした部屋といふのは、其|蔵裏つゞきにある二階の角のところ。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫
丑松が転宿を思ひ立つたのは、実は甚だ不快に感ずることが今の下宿に起つたからで、尤も賄でも安くなければ、誰も斯様な部屋に満足するものは無からう。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫
転宿の用意もしなければならぬ。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫