幻辞.com

銀地

ぎんじ
名詞
1
標準
silvery background
文例 · 用例
」 清葉は声を曇らしながら、二階で弄んで欄干越、柳がくれに落したのを、袖で受けて膝に持った、銀地の舞扇を開いて立って、長火鉢の向う正面に、縁起棚の前にきらりと翳すと、お孝が、肩を落して、仰向いて見つつ。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
月なき暗い夜に、羅の膚が白く透く、島田髷と、ひさし髪と、一人は水浅葱のうちわを、一人は銀地の扇子を、胸に袖につかって通る。
泉鏡花 露萩 青空文庫
色紙、短冊でも並びそうな、おさらいや場末の寄席気分とは、さすが品の違った座をすすめてくれたが、裾模様、背広連が、多くその席を占めて、切髪の後室も二人ばかり、白襟で控えて、金泥、銀地の舞扇まで開いている。
泉鏡花 木の子説法 青空文庫
」 と源三郎すっと座を立ち、よろめく三重の背を支えた、老の腕に女浪の袖、この後見の大磐石に、みるの緑の黒髪かけて、颯と翳すや舞扇は、銀地に、その、雲も恋人の影も立添う、光を放って、灯を白めて舞うのである。
泉鏡花 歌行燈 青空文庫
あだかも、その空に飛ぶように見せて、銀地に墨くろぐろと四五ひきの蜻蛉が帯の模様によって所を得させられている。
岡本かの子 雛妓 青空文庫
たとへば上野なら上野で、清水の堂に、文金の高島田、紫の矢絣、と云つた美人が、銀地の扇か何か持つてゐるといふと、……奈何にも色彩が榮えて配合その宜しきを得てゐるが、これが今時のやうな風俗であると一寸弱る、前述のやうだとお花見らしい上野が見えると言ふもの。
泉鏡花 お花見雜感 青空文庫
扇の銀地に洋燈の光が映えて、目の前に柔かな風を匂はせる袂長く、そちら向けば朱の雲の燃ゆるかと眩しき帶の立矢の字、裾の捌きが青疊に紅の波を打つて、トンと輕き拍子毎に、チラリと見える足袋は殊更白かつた。
石川啄木 菊池君 青空文庫
扇の銀地に洋燈の光が映えて、目の前に柔かな風を匂はせる袂長く、そちら向けば朱の雲の燃ゆるかと眩しき帯の立矢の字、裾の捌きが青畳に紅の波を打つて、トンと軽き足拍子毎に、チラリと見える足袋は殊更白かつた。
石川啄木 菊池君 青空文庫