草鞋履き
わらじばき
名詞
標準
文例 · 用例
佐々木小次郎は絹の着物の上に染革の袴、立付けに縫ったのをはき、猩々緋の陣羽織をつけて草鞋履きである。
— 直木三十五 『巌流島』 青空文庫
「出るな、出るな」 幾人も、袴をくくり上げて、草鞋履きで通って行った。
— 直木三十五 『三人の相馬大作』 青空文庫
直ちに身仕度厳重の草鞋履き、自宅から寄席までワザと泥んこのなかばかり選りつつ歩いて草鞋を泥々にし、その泥草鞋のまんま高座へ上がっていたら、びっくり仰天して席亭、これも言うだけの金を貸してくれた。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫
話の途中に五十恰好の頭の真丸い、印袢纒に草鞋履きの男が、植木に連れられてやつて来た。
— 死線を越えて 『死線を越えて』 青空文庫
」「草鞋を回してやりました」「女郎買ひに草鞋履きか、そいつは念入りだ」「實があるつてあの妓が喜ぶんですつて、隨分ねえ、――あの人はさう言ひましたよ」 お房の舌は滑らかにほぐれて行きます。
— 鬼女 『錢形平次捕物控』 青空文庫
塩山から青梅街道を柳沢峠に向って行く途中、石切場附近のとある人家の前の石垣に腰を掛けて、針で刺すように冷い朝風に吹き曝されながら、ほのぼのと明け行く雪の山を眺めていた三人連れの草鞋履きの男があった。
— 木暮理太郎 『奥秩父の山旅日記』 青空文庫
三十四年の九月末か、十月早々に出かけ、信州の一市十六郡のうち、木曾一郡を残した全県下を、草鞋履きでしんみりと歩いたことをおぼえている。
— 柳田国男 『故郷七十年』 青空文庫
山越しはかなり寒い時だとも聞きまして、白い毛布にくるまりそれにきゃはん、わらじばきというおもしろいなりで出かけました。
— 島崎藤村 『力餅』 青空文庫