窟内
くつない
名詞
標準
文例 · 用例
この若い男は、科野国の獣神であって、福慈の女神により人間に化せしめられつつあるうち病気をしてしまったのでこの洞窟内で療養せしめられているのだといった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
さればその日光は積水の底より入りて、洞窟の内を照し、窟内の萬象は皆一種の碧色を帶び、艪の水を打ちて飛沫を見るごとに、紅薔薇の花瓣を散らす如くなるなれ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
巖穴の一點の光明は忽ち失せて、第二の舟は窟内に入り來りぬ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
本来なら空地を行き尽してまたあき地、とか何とか威張ってもいいくらいに家の二側を包んでいるのだが、臥竜窟の主人は無論窟内の霊猫たる吾輩すらこのあき地には手こずっている。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
「洞窟内に通ずる海水は空氣の如く明澄で、これより麗しい洞窟は世界中殆ど想像し得ない」とは、ラフカヂオ・ハアンがこゝに遊んだ時の言葉と聞く。
— 島崎藤村 『山陰土産』 青空文庫
西の穴の洞窟内は廣くて奧に渚もあつた。
— 島崎藤村 『山陰土産』 青空文庫
そうして実に不思議なことには、どこからか光が射して来ると見えて、仄々とした薄明が蛍火のように蒼白く、窟内一杯に充ちている。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
洞窟内に住んでいる幾億万匹とも計り知られぬ、夜光虫の発する光なのである。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫