飽足
飽足
名詞
標準
文例 · 用例
従て其作歌にも飽足らぬ点が多い。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
だが、荘子はこの妻の貞淑にもまた月並な飽足りなさを感じるのだった。
— 岡本かの子 『荘子』 青空文庫
たとえ、それが姉であっても千歳には何か飽足りないもどかしい感じだった。
— 岡本かの子 『呼ばれし乙女』 青空文庫
顔だけでは、飽足らず、線香のような手足を描いて、で、のけぞらした形へ、疵をつける。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
然るに以言の草稿をも飽足らず思召して、其果に此の匡衡に文案して欲しいとの御頼みなのだ。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
妻も只泣いた許りで飽足らなくなつたか、部屋に歸つて亡き人の姉々等と過ぎし記憶をたどつて、悔しき當時の顛末を語り合つてる、自分も思はず出て來て其仲間になつた。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
殺しても飽足りないような、暴悪な憎悪の念が、家を飛出して行く彼女の頭に湧返っていた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
「撲のめしても飽足りない奴だ」 お島は、酔ったまぎれに自分を離縁しろといって、小野田を手甲擦らせていたと云う父親の言分から、内輪が大揉めにもめて、到頭田舎へ帰って行くことになった父親に対する憎悪が、また胸に燃えたって来るのを覚えた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫