踏み躙る
ふみにじる
動詞
標準
文例 · 用例
幻覚の持つ有頂天を無惨にも踏み躙る冷やかな徹視。
— 有島武郎 『描かれた花』 青空文庫
その上から踏み躙る。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫
合爾合姫が、日没と同時にただ一人、成吉思汗の陣営へ来ればよし、さもなければ、城も人も、木っ葉微塵に踏み躙るまでのことだ。
— ――市川猿之助氏のために―― 『若き日の成吉思汗』 青空文庫
彼は常々「貧乏である」というだけのことで、世間が一切の自然な対等的な要求を踏み躙ることを当然にしているような事実に反抗せずにはいられなかった。
— 地に潜むもの 『地上』 青空文庫
が私は足を停める気にもならず、霧を眺めながら歩いてゐると、彼女はばたばたと跫音を立てて私に追ひつき、「あなたはあの人がどうなつても構はない、つて気持なの、他人の愛情を踏み躙るつてことが罪悪だとはお思ひにならないの。
— 北條民雄 『青春の天刑病者達』 青空文庫
公の名にかくれて一人の女の幸福を踏み躙るやうなことをしてはならぬ。
— 岸田國士 『双面神』 青空文庫
それは、社会とか国とかいふ大きな場所と関りはなくつても、この種の男の足が踏み躙るであらうたゞひとつの小さな魂に、蔭ながら力を添へることにでもなりはせぬだらうか?
— 岸田國士 『泉』 青空文庫
そして、跫音のしないやうに、舞ひ落ちた秘密な粉を踏み躙ることのないやうに、女に残された空虚な部屋へ這入つてみた。
— 坂口安吾 『麓』 青空文庫