薄葉
うすよう
名詞
標準
文例 · 用例
ああ舟にのりて行かば、くるほしきなみの亂れもここちよく、ちのみごの夜びえする、あやしきこゑもきかであるべきに、ふるとせひとにかくれて、わがはぐくみしいろぐさのはや涸れぬとぞ、けふきけば薄葉に涙しをるる、よしゑやし、悲しきものはあだがたき、君ならなくに、はやも我が世をのがれいでばや。
— 萩原朔太郎 『浮名』 青空文庫
又知識のないものに、脚色だけ話をするとなると、こんな煩さい事はないのですから、自分もまた其様な物を読むと云ふ智慧はない時分で、始終絵ばかりを見て居たものですから、薄葉を買つて貰つて、口絵だの、※絵だのを写し始めたんです。
— 泉鏡花 『いろ扱ひ』 青空文庫
」 ホームズは懐から大きな薄葉紙を取り出して、丁寧に膝上で広げた。
— THE CROOKED MAN 『曲れる者』 青空文庫
例の石級の下に老いたる盲の乞兒ありて、往きかふ人の「バヨツコ」(我二錢|許に當る銅貨)一つ投げ入れむを願ひて、薄葉鐵の小筒をさら/\と鳴らし居たり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
もそろもそろに滞る鉛の電車、一片の命の紙と蝋づけの薄葉鉄の人を吊るしつつ、黒き煉瓦の息づみにひたぶる咽ぶ輪のほめき。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫
)その留守の間にも水車は長閑かに廻り、町端れの飾屋の爺は大きな鼈甲縁の眼鏡をかけて、怪しい金象眼の愁にチンカチと鎚を鳴らし、片思の薄葉鉄職人はぢりぢりと赤い封蝋を溶かし、黄色い支那服の商人は生温い挨拶の言葉をかけて戸毎を覗き初める。
— 北原白秋 『水郷柳河』 青空文庫
子が愛づる薄葉鉄の太鼓、その紅き片面剥げしに、土盛りて、せめて植ゑむと、福寿草霜に抜き来ぬ、二株三株。
— 北原白秋 『風隠集』 青空文庫
反歌児が愛づる薄葉鉄の太鼓剥がれたり植ゑて眺めむ福寿草のはな春鵙おもしろの春や、この朝、花しろき梅のはやしに、をさな鵙来てををりける。
— 北原白秋 『風隠集』 青空文庫