金の鯱
きんのしゃち異読 きんのしゃちほこ
表現名詞
標準
golden shachihoko (ornament)
文例 · 用例
日露戰爭のすぐ以前とは言ひながら、一圓づゝに算へても、紙幣の人數五十枚で、金の鯱に拮抗する、勇氣のほどはすさまじい。
— 泉鏡太郎 『火の用心の事』 青空文庫
少しく離れた私の兜の竜頭は、城の天守の棟に飾った黄金の鯱ほどに見えようと思う。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
翌朝、棟の雲の切れ間を仰いで、勇ましく天守に昇ると、四階目を上切つた、五階の口で、フト暗い中に、金色の光を放つ、爛々たる眼を見た、 一|目見て、「やあ、祖父殿が、」と老爺が叫ぶ、……其なるは、黄金の鯱の頭に似た、一個青面の獅子の頭、活けるが如き木彫の名作。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
三つの丘の真中の七重の天守閣の頂には、金の鯱鉾が朝日夕日に輝いてゐた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
その楠の板は木目が雲のようになっておりまして、その上に芳流閣の金の鯱鉾と青い瓦とが本物のように切りつけられておりました。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
その金の鯱の前に片膝をついて刀を振り上げている信乃の顔は、お母様が私の眼や鼻をソックリ男のようにお描きになりましたもので、それに向い合って身構えている現八の顔にはお父様の眼と鼻が生き生きと睨みかえっておりました。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
それはかの柿の木金助が紙鳶に乗って、名古屋の城の金の鯱鉾を盗むという事実を仕組んだもので、鬼太郎君は序幕と三幕目を書いた。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
柿の木金助は大凧に乗って名古屋城の天主閣に登って、金の鯱の鱗をはがしたと伝えられている。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫