出ず
いず異読 いづ
Nidan verb (lower class) with 'dzu' ending (archaic)動詞-自動詞多音語
標準
to leave
文例 · 用例
かすみか雲か、においぞ出ずる。
— 岡本かの子 『雪の日』 青空文庫
二疋はまるで声も出ず居すくまつてしまひました。
— 宮沢賢治 『やまなし』 青空文庫
屏風巌をめぐりて般若方等二つの滝の見ゆる処に出ず。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
翌朝つとめて起き出ず。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
日、湖の面を照す頃舟を雇うて出ず。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
しばらく遊びて後戦塲が原に出ず。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
自分はこう考えて、浮かぶことのできない、とうてい出ずることのできない、深い悲しみの淵に沈んだような気がした。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
」 しかし、おしかはどうしてもごはんという言葉が出ず、すぐ田舎で使い馴れた言葉が口に上ってきた。
— 黒島傳治 『老夫婦』 青空文庫
作例 · 標準
病の床に臥してより、彼は一歩も家を出ず、書を読みて日を過ごせり。
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月は厚き雲間に隠れて出ず、夜道は漆黒の闇に閉ざされた。
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彼の心中に秘められし想いは、ついに口に出ず、ただ眼差しに宿るのみであった。
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いくら待てども、その怪鳥は姿を出ず、山は静寂に包まれたままなり。
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標準
to leave (on a journey)
作例 · 標準
「いざ、都の喧騒を離れ、静かなる山寺へと出ず。」と、老僧は旅装を整えながら呟いた。
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源頼朝は、平家追討のため、鎌倉を出ず、伊豆へと向かったと伝えられている。
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鬼退治の勇者は、村の若者たちに見送られ、邪悪な鬼が住まうという深山へと出ず。
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古文では、「旅に出る」という動詞を「出ず」と表現することがあり、特に長旅を暗示する際に用いられた。
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標準
to move forward
作例 · 標準
月はいづこより出でて、いづこへ入りぬる。
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門のあたりに、車を引き出させて、人々出で集ふ。
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御前に召し出されて、いよいよ畏まりぬ。
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「いざ、共に出で給へ」と、手を取りて誘ふ。
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標準
to come to
作例 · 標準
山の端より、皓々たる月の出ず。
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門を出ずれば、そこは一面の銀世界なりき。
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岩の隙間より、清らかなる水の絶えず出ずるを見つむ。
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都を出ずるとき、別れを惜しむ友の袖ぞ濡れにける。
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標準
to appear
作例 · 標準
東の空より、曙光静かに出ず。
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神霊、しばしば森の奥より出ずと伝わる。
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苦難を乗り越えし者のみ、真の強き心出ず。
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彼方より、一団の騎馬武者、悠然と出ず。
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標準
to appear (in print)
作例 · 標準
その物語は、当初は一部の文人たちの間でしか `出ず`、広く一般に知られることはなかった。
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この古写本には、他のどの版にも `出ず`、作者の初期の思想をうかがわせる貴重な一節が記されている。
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「あの伝説の歌が、ついに楽譜として `出ず` なんて、夢にも思わなかったよ!」
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この珍しい植物の図説は、当時の博物学の書物には `出ず`、秘匿されていた。
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標準
to attend
作例 · 標準
古の記録によれば、その儀式には全ての有力者が欠かさず出ず、国政を論じたとされている。
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その書物には、殿上人が毎夜のように帝の御前に出ず、御身辺の世話をしたと記されている。
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現代語の「出席する」や「参加する」に相当する古語「出ず」は、その響きに荘厳さを感じさせる。
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当時の貴族階級は、評定には必ず出ず、自らの権益を守るために活発な議論を戦わせた。
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標準
to be stated
作例 · 標準
この政治スキャンダルに関する詳細は、情報統制のため、まだ公には出ず、国民の知る権利が制限されている。
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競合他社の新製品に関する情報は、発表まで一切出ず、市場の憶測を呼ぶばかりだ。
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その未解決の現象に関する最新の調査結果は、まだ論文としては出ず、研究者の間でもその全容は知られていない。
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幕府が隠蔽したとされる秘密文書は、発見されたものの、その内容は依然として公には出ず、歴史の謎を深めている。
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標準
to sell
作例 · 標準
湊に荷の着くを待ちかねて、西国よりの珍しき品々がいず。
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「この地の絹は質が良く、市に出せば飛ぶようにいずらむ。」
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飢饉の折には、細々と蓄えし米もかなりの高値にていず。
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先代よりの家宝がいずるを見送るは、末裔として忍び難きことなり。
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標準
to exceed
作例 · 標準
その卓抜した技量は、同世代の群を出ず。
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彼の雄大な構想は、もはや一企業の枠を出ずるものであった。
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「その麗しさは、世の常を出ず」と古の書に記されるほどの絶世の美女。
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過ぎたるは猶及ばざるが如し、何事も度を出ずれば却って害をなす。
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標準
to stick out
作例 · 標準
地層の露頭から、未確認の鉱石が鈍く出ずてあり。
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古木の根が、大地から力強く一本、出ずてあり。
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この古い城壁からは、砲弾の跡らしきものが不意に出ずてあり。
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海底の調査で、奇妙な形状の構造物が海底から出ずてあり。
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標準
to break out
作例 · 標準
激しい運動の後に、額から玉のような汗がいず。
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雲の切れ間から、煌々と輝く月がいず。
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街のあちこちから、突如として火の手がいず。
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緊張に耐えかねて、唇から震える声がいず。
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標準
to be produced
作例 · 標準
雲の切れ間より、煌々たる月の出ず。
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住み慣れし故郷の門を出でて、はるかなる旅路に就く。
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幾多の試行錯誤を経て、ついに画期的なる新薬の出ずるに至れり。
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「いずこよりその清らかなる水の出ずるや、誰も知る者なし」
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標準
to come from
作例 · 標準
「東(ひがし)の空を赤く染めて、今や日はいず。」
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山の端(は)よりいずる月を愛でつつ、静かに酒を酌み交わす。
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地底よりいずる熱き湯が、古(いにしえ)より里人の疲れを癒やしてきた。
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「胸の奥底よりいずる溜息(ためいき)を、誰(たれ)か知るらん。」
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標準
to be given
作例 · 標準
朝廷より、速やかに兵を退くべしとの宣旨が出ず。
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合戦の功により、一族には多大なる禄が出ずることとなった。
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「主君のお許しが出でば、すぐにでも故郷へ帰りて親の死に目に逢わん。」
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「お沙汰が出ずるまでは、この館にて静かに時を待つがよい。」
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標準
to answer (phone, door, etc.)
作例 · 標準
何度も電話をかけたが、彼は出ず、ただ鳴り続けるばかりだった。
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玄関で激しくドアを叩かれたが、子供たちは怖がって誰も出ず、音はやむことがなかった。
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父が息子を呼んだが、息子は部屋の奥から「出ず」、ただ母親の影に隠れていた。
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「もしもし?聞こえますか?」と呼びかけても、相手からは何の音沙汰も出ず、通話は一方的に切れてしまった。
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標準
to assume (an attitude)
作例 · 標準
国際会議において、我が国は平和的解決を重視する姿勢を「出ず」、各国との協調を呼びかけた。
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彼は内なる苦悩を一切表に出さず、常に冷静沈着な振る舞いを「出ず」ことで、周囲を翻弄した。
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その俳優は、役柄の孤独感を完璧に「出ず」、観客の心を深く揺さぶった。
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現代社会においては、自己責任を強調するだけでなく、他者への共感という態度を「出ず」ことが、より一層求められている。
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標準
to pick up (speed, etc.)
作例 · 標準
鞭を入れると、馬は最後の力を振り絞り、驚くほどの末脚が出でた。
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序盤こそ筆が重かったが、次第に調子が出でて、物語は一気に進展した。
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追い風を受け、我が小舟は見る見るうちに速力が出でて、岸を遠ざかった。
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機関が温まるにつれて回転数が上がり、本来の性能が出ずるようになる。
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標準
to flow (e.g. tears)
作例 · 標準
亡き友の面影を偲べば、ただとめどなく涙が出ず。
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悲報に接し、人目もはばからず熱き涙の出ずるに任せた。
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深き山奥の岩間より、こんこんと清らかな水が出ず。
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幾度袖で拭えども、なお後から後から悲哀の涙が出でて止まらない。
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標準
to graduate
作例 · 標準
この學舎より、幾多の俊英が世に出ず、各々が名を成した。
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十年修行を積みて、ようやく師の教えを受けてもとを出ず、一人前となる。
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かの藩校からは、幕末の動乱を動かした多くの英傑が出ずと語り継がれる。
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學を修め、鄉里の塾を出ずれば、もはや獨り立ちの身とならん。
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