掻き手
かきて
名詞
標準
文例 · 用例
ネロが昼寝していたとき、誰とも知られぬやわらかき手が、ネロの鼻孔と、口とを、水に濡れた薔薇の葉二枚でもって覆い、これを窒息させ死にいたらしめむと企てた。
— 太宰治 『古典風』 青空文庫
君が手は、』骸骨は思はず失笑し、『柔かき手もて握れる故、我等が手は痛からむ。
— 長塚節 『長塚節歌集 中』 青空文庫
――針を海綿に蔵して、ぐっと握らしめたる後、柔らかき手に膏薬を貼って創口を快よく慰めよ。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
かき手と与次郎は笑い出した。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
糸車糸車、糸車、しづかにふかき手のつむぎその糸車やはらかにめぐる夕ぞわりなけれ。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
カステラをふくみつつ、その黄いろなる、われはかの君をぞ思ふ、柔かき手のひらのなつかし。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
木村という人の訳のブルージエを春陽堂がよこし、マフ(手を入れるもの、女の)それをハンケチとかき手套とかき、又もう一つにかいている。
— 一九三九年(昭和十四年) 『獄中への手紙』 青空文庫
あの男は、御存じの通り剛健な、達者なかき手だが、美人をかかせると艶麗なものをかくから不思議なものさ。
— みちりやの巻 『大菩薩峠』 青空文庫