聚落
じゅらく
名詞
標準
文例 · 用例
帰路は夕日を背負って走るので武蔵野特有の雑木林の聚落がその可能な最も美しい色彩で描き出されていた。
— 寺田寅彦 『異質触媒作用』 青空文庫
蛮地では人煙が稀薄であり、聚落の上に煙の立つのは民の竈の賑わえる表徴である。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
手を截り去れば手また生じ、脚を截り去れば脚また生じ、金の頭金の手金の脚家|充満となりて、爛々燦々と輝きわたりければ、この事王の耳に入りしが、仔細を問ひ玉ふに及びて、これ善行の報なりと知れ、福人なりとて売薪者を急に一聚落の長に封ぜられしとぞ。
— 幸田露伴 『印度の古話』 青空文庫
水の溜つた田のわきにはおほばたねつけばなのの」は底本では「おほばたねつけばなの」]聚落が有つた。
— 木下杢太郎 『すかんぽ』 青空文庫
所が農學部の裏門からはひる小徑のわきの地面に其|聚落の有ることをふと見付けたのである。
— 木下杢太郎 『すかんぽ』 青空文庫
其処は小さな聚落で家の周囲に楡の樹を植えた泥壁の農家が並んでいた。
— 田中貢太郎 『竇氏』 青空文庫
自分でもその聚落のことを知っており、また聚落の者で自分の家を知らない者はないと思っている南はすこしも気を置くことなしにその門の中へ入って、驢から飛びおりるなり、それを傍の楡の樹に繋いでとかとか簷下へ往った。
— 田中貢太郎 『竇氏』 青空文庫
烏来ってこれに交わり一子を生む、その子鶏の声を聞きて父の烏が偈を説いて言うたは、この児、我が有にあらず、野父と聚落母が共に合いてこの子あり、烏でもなく鶏でもなし、もし父の声を学ばんと欲せば、これ鶏の生むところ、もし母の鳴くを学ばんと欲せば、その父は烏なり。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫