実伝
じつでん
名詞
標準
文例 · 用例
神を畏れ悪に遠ざかりしヨブの実伝を、ヨブと等しき実験を持てるある人が自己の実験に照しまた詩的外衣に包みて提示せしもの、これすなわちヨブ記である。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
即ち未だ曾て公にせられたことのない京水実伝である。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
親鸞および浄土真宗の研究は、親鸞の実伝とその正依の経典とに拠らなければならない(むろんそれだけで親鸞の本質が掴めるとは思わないが)。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫
鴨長明のやうな半僧生活の修道者もあれば、又、西行の如き法師も含つてゐる隠者階級には、かうした堂上の故実伝統者も数へねばならぬ。
— 後期王朝文学史 『女房文学から隠者文学へ』 青空文庫
日露戦争中肥後の熊本で八十一で亡くなった私の伯母――母の姉の実伝で、十八年前の遺嘱を果したのであります。
— 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』 青空文庫
フイドオル・ドストイエフスキイ孝子実伝ちちのみの父を負ふものひとのみの肉と骨とを負ふものきみはゆくゆく涙をながしそのあつき氷を踏み夜明けむとするふるさとにあらゆるものを血まみれにする萩原朔太郎 千九百十七年九月二十三日のまだ夜の明けぬうちに私はその最愛の父を失うた。
— 室生犀星 『愛の詩集』 青空文庫