中程
なかほど
名詞
標準
文例 · 用例
何気なしに今度××歌劇に投書しようと思つて書いた原稿を出して中程から読み始めた。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
やがて最初に目に入つた玉屋に這入ると、部屋は明るくガランとしてゐて、温室のやうだつた、客の腰掛場になつてゐる、畳二枚を縦に並べた場所の、その中程に置かれた火鉢には其処の主人が如何にも睡げによつかゝつてをり、お主婦さんも割烹着を着たまゝ火鉢で手をぬくめてゐた。
— 中原中也 『西部通信』 青空文庫
御茶の水橋は中程の両側が少し崩れただけで残っていたが駿河台は全部焦土であった。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
そして、左手の壁の中程にある扉の方へ歩いて行つたかと思ふと、ひよいと私を振り返りながら、そのまま隣の部屋へ姿を消してしまつた。
— 南部修太郎 『ハルピンの一夜』 青空文庫
中は好い工合に空いてゐて、釣革にぶら下がつてゐる人もなかつたので、僕は直ぐ中程の座席の隙へ腰を降したんだ。
— 南部修太郎 『S中尉の話』 青空文庫
土産ものを包んで行った風呂敷を畳みもしないで突込んで、見ッともないほど袂を膨らませて、ぼんやりして帰りがけ、その横町の中程まで来ると、早瀬さん御機嫌宜しゅう、と頓興に馴々しく声を懸けた者がある。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
同じ相性でも、始わるし、中程宜しからず、末|覚束なしと云う縁なら、いくらか破談の方に頼みはあるが……衣食満ち満ち富貴……は弱った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
裏町の中程に懸ると、両側の家は、どれも火が消えたように寂寞して、空屋かと思えば、蜘蛛の巣を引くような糸車の音が何家ともなく戸外へ漏れる。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫