気先
きさき
名詞
標準
文例 · 用例
度々来ているうち、その事もなげな様子と、それから人の気先を撥ね返す颯爽とした若い気分が、いつの間にか老妓の手頃な言葉|仇となった。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
私に武者振りついても、飽くまで詰責しようと待構えていた母も、これですっかり気先を挫かれて、苦笑するより仕方ありませんでした。
— 岡本かの子 『扉の彼方へ』 青空文庫
木村も葉子も不意を打たれて気先をくじかれながら、見ると、いつぞや錨綱で足をけがした時、葉子の世話になった老水夫だった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
それは岡の気先をさえ折るに充分なほどの皮肉さだった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
何時でも姉はいそ/\と出迎へてくれるのに、今日は近所から預かつてある十許りの女の子が淋しさうな顔をして、入口に出て来たばかりなので、少し気先きを折られながら奥の間に通つて見ると、姉は黙つて針仕事をして居た。
— 有島武郎 『お末の死』 青空文庫
遁れつべうもこそあらじと見えつるが、虹汀少しも騒ぐ気色なく、負ひ奉りし仏像を馬士に渡し、網代笠の雪を払ひて六美女に持たせつ、手に慣れし竹杖を突き、衣紋を繕ひ珠数を爪繰りつゝ、しづ/\と引返し進み出でければ、案に違ひし捕手の面々、気先を呑まれてぞ見えたりける。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
炎熱|焦くが如く樹葉皆な下垂するの時、海に下りて衣を脱すれば涼気先づ来る。
— 北村透谷 『客居偶録』 青空文庫
「気先あしければ、立ち戻ろうか?
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫