駆戻
かける戻
名詞
標準
文例 · 用例
)と云うかと思うと、ひょいと立って、またばたばたと十足ばかり、駆戻って、うつむけに突んのめったげにござりまして、のう。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
――で、駆戻ると、さきの親類では吃驚して、頭を冷して寝かしたんだがね。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
自分と露地口まで連立って、一息|前へ駆戻ったお千世を捉えて、面前喚くのは、風説に聞いたと違いない、茶の缶を敲く叔母であろう。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
「可し、ここで――ここで――ここで――」 と焦って、圧えて云い云い、早や飛下りそうにしつつも駆戻る発奮にずかずかと引摺られるように町の角を曲って、やっと下立った処は、もう火の番を過ぎて、お竹蔵の前であった。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
貴様にたいしても、高木に対しても」 俺はありッたけの下着を脱いで陶に着せかけ、大急ぎで別荘に駆戻った。
— 久生十蘭 『湖畔』 青空文庫
おれは焼山で茅をもやす」 そういうと、焼山のほうへ駆戻って行った。
— 久生十蘭 『藤九郎の島』 青空文庫
「ぷッ、」と噴出すように更に笑った女が、堪らぬといった体に、裾をぱッぱッと、もとの方へ、五歩六歩駈戻って、捻じたように胸を折って、「おほほほほ。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
女房はさまでは汚がらないで、そのままで、「――学生さんの制服で駈戻って来なさいましたのは水道橋の方からでございましょう。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫