川前
かわまえ
名詞
標準
文例 · 用例
俺みたいな奴の娘を名門の息子が貰う訳に行かないというので、父親の唖川前外相の指令か何かを受けた小伯爵が、人を頼んでか、又は自分自身でか盗み出したものだ。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
しかしこの船宿は、かの待合同様な遊船宿のそれではない、清国の津々浦々から上って来る和船帆前船の品川前から大川口へ碇泊して船頭|船子をお客にしている船乗りの旅宿で、座敷の真中に赤毛布を敷いて、欅の岩畳な角火鉢を間に、金之助と相向って坐っているのはお光である。
— 小栗風葉 『深川女房』 青空文庫
ソノ風害ヲ被ルコト白川前後ノ甚シキガ如クニ至ラズ。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
それが下の宮、藤川前、新堀、横手、萩原を経て、早い年には四月の二十日頃、私の村の地先へ達していたのである。
— 佐藤垢石 『利根の尺鮎』 青空文庫
これは可なり大きい川で、大石田から半里ばかり北方の川前といふところにそそいで寄る。
— 齋藤茂吉 『支流』 青空文庫
また、川前の最上川は秋鮭の取れるところで、はるばる海からのぼつてくる雌雄の鮭を取るのである。
— 齋藤茂吉 『支流』 青空文庫
去年(昭和二十年)の秋、一日川前に遊び、あのへんの山や最上川畔を逍遥し、水面から鮭の跳ね躍るのを見、土産に鮭をもらつて来たことがあつた。
— 齋藤茂吉 『支流』 青空文庫
川前といふ村から大石田へ移転して来た、井刈安蔵といふ人が居た。
— 齋藤茂吉 『鯉』 青空文庫