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帯揚

おびあげ
名詞
1
標準
文例 · 用例
葛籠の底に納めたりける一二枚の衣を打かへして、浅黄ちりめんの帯揚のうちより、五|通六通、数ふれば十二|通の文を出して旧の座へ戻れば、蘭燈のかげ少し暗きを、捻ぢ出す手もとに見ゆるは殿の名。
樋口一葉 軒もる月 青空文庫
婦人固くこれを胸間に纏うて然も解難しとせず、一体品質厚くして幅の広きが故に到底糸を結ぶが如く、しつかりとするものにあらねば、このずり落ざる為に、     帯揚 を用ふ、其背に於て帯をおさふる処に綿を入れ、守護を入れなどす。
泉鏡花 当世女装一斑 青空文庫
帯留 帯揚を結びて帯をしめたる後、帯の結めの下に通して引廻し、前にて帯の幅の中ばに留む、これも紐にて結ぶあり、パチンにて留むるあり。
泉鏡花 当世女装一斑 青空文庫
笑い苦しめられた芸妓の一人が、その復讐のつもりもあって「姐さんは、そのとき、銀行の通帳を帯揚げから出して、お金ならこれだけありますと、その方に見せたというが、ほんとうですか」と訊く。
岡本かの子 老妓抄 青空文庫
子供じゃあるまいし、帯揚げのなんのって……」 こどものようになって、ぷんぷん怒るのである。
岡本かの子 老妓抄 青空文庫
菊枝は活々とした女になったが、以前から身に添えていた、菊五郎格子の帯揚に入れた写真が一枚、それに朋輩の女から、橘之助の病気見舞を紅筆で書いて寄越したふみとは、その名の菊の枝に結んで、今年は二十。
泉鏡花 葛飾砂子 青空文庫
歌人が自分で深く慮り、すべて婦人の弟子に対する節は、いつもその紅、白粉、簪、細い手、雪なす頸、帯、八口を溢れる紅、褄、帯揚の工合などに、うっかりとも目の留まらぬよう、仰向いて眼を塞ぐのが、因習の久しき、終に性質となったのである。
泉鏡花 三枚続 青空文庫
「はい、」と案外軽い返事、さやさやと衣の音がして葭戸越に立姿が近いたが、さらりと開けて、浴衣がけの涼しい服装、緋の菱田鹿の子の帯揚をし、夜会結びの毛筋の通った、色が白い上に雪に香のする粧をして、艶麗に座に着いたのは、令夫人才子である。
泉鏡花 三枚続 青空文庫