正妃
せいひ
名詞
標準
文例 · 用例
莵野ノ王女は、大海人の最初の妃であつた大田ノ王女の同腹の妹で、姉の死後、正妃に直されたのである。
— 『白鳳』第二部 『鸚鵡』 青空文庫
はじめの二年ほどのあひだ、あのふつくらした容姿のなかにも一脈の淋しさを宿してゐる、今になつて思へば白|芙蓉のやうな感じの女だつた大田ノ王女が、病身ながらまだ存命で、正妃であつてくれた頃はまだしもよかつた。
— 『白鳳』第二部 『鸚鵡』 青空文庫
ところがこの妃が亡くなり、莵ノ野王女が正妃に直つてからといふもの、そんな心のゆとりが日ましに失はれて行くのを、大海人は痛々しいほど心に感じてゐた。
— 『白鳳』第二部 『鸚鵡』 青空文庫
かくして、常の王服に包まれ、首をうなだれ、両手を胸で組み、黄金の椅子に坐した代々のインカの王と正妃とが、煌々たる黄金の大日輪の前に、左右に並んでいたのである。
— 日本の悲劇 『鎖国』 青空文庫
というのは、彼が正妃との間に生んだ太子ワスカルは当時三十歳位であったが、この他に彼は新しく征服したキトーの最後の王の娘との間にアタワルパを生み、この王子を非常に愛した。
— 日本の悲劇 『鎖国』 青空文庫
〔法興元三十一年、即ち推古天皇の二十九年十二月の某日に、太子の御母|間人太后が崩御になり、その明年即ち推古天皇の三十年正月二十二日に、太子が御病気になられて、食事を念び給わず、太子の正妃、膳大刀自(菩岐々美郎女)が心労のあまりまた同じく重い病の床につかれた。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫
その前日には太子の正妃|膳大刀自が亡くなられ、前年の暮には母后が崩御されたのであるから、上宮一家の悲嘆は申すまでもない。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫
――それと、親房のむすめは、大塔ノ宮の正妃でもあったから、宮将軍の“反尊氏”のうしろだてに、彼がいたところで不思議でなく、事実また、親房も尊氏はきらいであった。
— 建武らくがき帖 『私本太平記』 青空文庫