舎家
しゃか
名詞
標準
文例 · 用例
この句を読むと、田舎の閑寂な空気や、夏の真昼の静寂さや、ひっそりとした田舎家の室内や、その部屋の窓から見晴しになってるところの、広茫たる一面の麦畑や、またその麦畑が、上風に吹かれて浪のように動いている有様やが、詩の縹渺するイメージの影で浮き出して来る。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
粗末な泥土塗りの田舎家もイタリアと思えばおもしろかった。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫
」 と笑って、一つ一つ、山、森、岩の形を顕わす頃から、音もせず、霧雨になって、遠近に、まばらな田舎家の軒とともに煙りつつ、仙台に着いた時分に雨はあがった。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫
煤けた梁や柱に黒光りがするくらい年代のある田舎家の座敷を、そっくりそのまま持ち込まれた茶座敷には、囲炉裏もあり、行灯もあった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
粗壁の田舎家の奥座敷で主人と中老の男の盃の献酬がはじまる。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
刻んだ菜や、水を与えられると、籠の目を透くレモン色の小さい姿が激しく動くのが見え、田舎家の午前の無言の静けさは銀の蚤でも螫すように急に品よく可愛らしくざわめき立ちました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
自然の落葉のままが風雅なら、どんな田舎家にも千家茶道宗家の看板は掲けられましょう。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
――こんな風にして、私たちはこの田舎家で、思う存分幸福に暮していたんです。
— THE YELLOW FACE 『黄色な顔』 青空文庫