自家用自動車
じかようじどうしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
時折それらの邸宅の自家用自動車が、静かに出入りするばかりで、殆ど都会の中とも思われぬ程森閑としている。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
一人のオペラ帽を光らした中年の紳士が婦人を誘って戸の開いている立派な自家用自動車の傍へ連れて行った。
— 岡本かの子 『オペラの帰途』 青空文庫
第一は自家用自動車で、震災後一番殖えたのはこの種類である。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
パノール號ロードスターを自家用自動車として所有す。
— 直木三十五 『著者小傳』 青空文庫
」 わたしの女房も褐色のカマツキリのやうな父親が忽ち自家用自動車にでもをさまつた姿を想像して、「俥でも乗りつけて、小田原の奴等に泡を吹かせてやら、さんざんひとを馬鹿にしやがつて、紙幣束でも叩きつけてやつたらどんな顔しやがるだらう。
— 牧野信一 『茜蜻蛉』 青空文庫
都会にいて七層八層のビルディングを見、銀座の眩しいショウ・ウィンドウを見ている人には自家用自動車で待合通いやカッフェー入りをする人には、夏は扇風機、冬は暖炉に、思うようしたい放題のことのできる人には、この話は嘘としか思われないだろう。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
自家用自動車は、特殊会社のほかは五百万円以上の会社の社長級からでなくては動かせないことになったという噂だから、そうだとすれば「自」というマークは持ち主の身上を街上にさらして或る意味では示威しているような結果にもなり、そこにはそこでの悲喜劇もあるだろう。
— 宮本百合子 『新しい美をつくる心』 青空文庫
これは帝都全市のタクシーや自家用自動車につき調査中であるから、二三日のうちに判明するであろう。
— 海野十三 『省線電車の射撃手』 青空文庫