椈
椈
名詞
標準
文例 · 用例
深い椈の森や、風や影、肉之草や、不思議な都会、ベーリング市まで続く電柱の列、それはまことにあやしくも楽しい国土である。
— 宮沢賢治 『『注文の多い料理店』新刊案内』 青空文庫
「先刻窓越しに、太い椈の柱を二本見たので、それが棺駐門であるのを知ったのだよ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
色白の腕を伸した椈の木よ、聖母瑪利亞、子持を歎き給ふ禮拜堂、二形の利未僧が重い足で踏み碎いた、あらずもがなの足臺、僧官濫賣の金を容れて、燒焦をこしらへた財嚢、「愛」の神が、嘗てここに人間を愛してみたいと思つた虚の胎内。
— 上田敏 『牧羊神』 青空文庫
おまへの臍の上に、銀の蛇の帶をきりりとお締め、 とはいふものの、また可愛くもある椈の木、不思議の木、わたしの悲しい心の悦。
— 上田敏 『牧羊神』 青空文庫
そしてアデェルがパイロットとふざけたり羽子をついたりして遊んでゐる間に、彼は、アデェルからも見える長い椈の並木路を歩いて見ないかと私を誘つた。
— ブロンテイ 『ジエィン・エア』 青空文庫
そいつは、そこのあの椈の幹の側に立つてゐたつけが――フオレスのヒイスの上でマクベスに現れた奴等の仲間みたいな妖婆です。
— ブロンテイ 『ジエィン・エア』 青空文庫
大きな爐には年寄つたイヴォンヌが路で拾ひ集めた松や椈の香り高い枝が燃えてゐた。
— PECHEURS D'ISLANDE 『氷島の漁夫』 青空文庫
道は急に爪先上りとなって、椈や楢の大木が茂った中を九十九折に上っている。
— 木暮理太郎 『奥秩父の山旅日記』 青空文庫