鳴
なる
名詞
標準
文例 · 用例
平生は鉄工所でどんがんする鎚の音、紡績会社の器械のうなり、汽笛の響、有らゆる諸工場の雑多な物鳴り等、大都会の騒々しさも、今日は一切に耳に入らない。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
どこへ持っていったと畳懸けて呶鳴りつけられる。
— 伊藤左千夫 『井戸』 青空文庫
二荒の裾山樹々の梢に鶯の今をさかりと鳴く声いとめずらし。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
風はそよとも吹かず、日熱からず、四方のけしきのどかに見わたさるるに時じくに鶯鳴くも二荒のおくなる里は常春にして舟、菖蒲が浜に着く。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
途中あかねさす西日は照れどひぐらしの鳴き蟲山に雨かゝる見ゆゆくゆく一人の少女のいと艶なるに逢う。
— 伊藤左千夫 『滝見の旅』 青空文庫
結句の『枯葉落つる日』この一句これを取離して見れば、ただそれだけのことで、何等作者の独創があるのでなく、唯一句の記号に過ぎない詞であるが、この歌の結句にこの一句を置いて見ると、この平凡な一句が一首全体の上に、非常に淋しい影響と共鳴とを起すのである。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
一首一首を詠んでそれぞれ生きた感情に触れ、更に全体を読去って、また全体から受ける共鳴の響きが、暫くの間読者の胸に揺らぐを禁じ得ないのである。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
母牛はしきりにふりかえって犢の方を見ては鳴ている。
— 伊藤左千夫 『牛舎の日記』 青空文庫