幻辞.com

名詞
1
標準
文例 · 用例
それは常に現實的實感の上位を跳躍して、高く天空に向つて押しあげる意志であり、一つの甘美にして醗せる情緒である。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
實際多くの定律詩人の中には、何等その心の中に詩情の醗せる音樂を感ずることなく、單にその手慣れたる格調上の技巧によつて、容易に低調な思想を詩に作りあげてしまふ。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
故にその心に明白なる音樂を聽き、詩的情操の醗せる抑揚を感知するに非ずば、自由詩の創作は全く不可能である。
萩原朔太郎 青猫 青空文庫
寂寞と昼間を鮓のなれ加減 鮓は、それの醋が醗するまで、静かに冷却して、暗所に慣らさねばならないのである。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
それは鮓の素であるところの、醋の嗅覚や味覚にも関聯しているし、またその醋が、暗所において醗する時の、静かな化学的状態とも関聯している。
萩原朔太郎 郷愁の詩人 与謝蕪村 青空文庫
し切らない濁酒のやうな不純な、鈍重な、齒切れの惡い悒鬱が何所からともなく私の心と肉とをさいなんでかゝる。
有島武郎 青空文庫
とにかく、俺は先祖の位牌を血の中に流し、そいつを毎晩アルコールで醗させてるんだ。
――生きる為に―― 山谿に生くる人々 青空文庫
日頃酒を好む者、いかにその精神、吝嗇卑小になりつつあるか、一升の配給酒の瓶に十五等分の目盛を附し、毎日、きっちり一目盛ずつ飲み、たまに度を過して二目盛飲んだ時には、すなわち一目盛分の水を埋合せ、瓶を横ざまに抱えて震動を与え、酒と水、両者の化合|醗を企てるなど、まことに失笑を禁じ得ない。
太宰治 禁酒の心 青空文庫