神通
じんずう
名詞
標準
文例 · 用例
なぜかならいくら風のように速い深谷であっても、神通力を持っていないかぎり、そんなに早くグラウンドを通り抜け得るはずがなかったから。
— 葉山嘉樹 『死屍を食う男』 青空文庫
或時は日の出づる立山の方より、或時は神通川を日沒の海より溯り、榎の木蔭に會合して、お月樣と呼び、お十三と和し、パラリと散つて三々五々、彼杖の響く處妖氛人を襲ひ、變幻出沒極りなし。
— 泉鏡太郎 『蛇くひ』 青空文庫
僧都 (苦笑す)若様には、新夫人の、まだ、海にお馴れなさらず、御到着の遅いばかり気になされて、老人が、ここに形を消せば、瞬く間ものう、お姿見の中の御馬の前に映りまする神通を、お忘れなされて、老寄に苦労などと、心外な御意を蒙りまするわ。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
蟹五郎 神通広大――俺をはじめ考えるぞ。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
」と謂われて返さむ言も無けれど、老媼は甚だしき迷信|者なれば乞食僧の恐喝を真とするにぞ、生命に関わる大事と思いて、「彼奴は神通広大なる魔法使にて候えば、何を仕出ださむも料り難し。
— 泉鏡花 『妖僧記』 青空文庫
でも悪魔、変化ばかりではない、人間にも神通があります。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
「……我常住於此 以諸神通力 令顛倒衆生 雖近而不見 衆見我滅度 広供養舎利 咸皆懐恋慕 而生渇仰心……」 白髪に尊き燈火の星、観音、そこにおはします。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
其の頃からいつとなく感得したものと見えて、仔細あつて、那の白痴に身を任せて山に籠つてからは神変不思議、年を経るに従ふて神通自在ぢや、はじめは体を押つけたのが、足ばかりとなり、手さきとなり、果は間を隔てゝ居ても、道を迷ふた旅人は嬢様が思ふまゝはツといふ呼吸で変ずるわ。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫