顔洗
かおあらい
名詞
標準
文例 · 用例
」 花子がなにをねぼけてるかとくすくす笑い乍らみんなさっさと顔洗所へ行ってしまいました。
— 岡本かの子 『花子』 青空文庫
十九日、朝起きて、顔洗うべき所やあると問えば、家の前なる流を指さしぬ。
— 森鴎外 『みちの記』 青空文庫
それは、毎朝其処に顔洗ひに来る藤田であつた。
— 石川啄木 『天鵞絨』 青空文庫
家今朝も、ふと、目のさめしとき、わが家と呼ぶべき家の欲しくなりて、顔洗ふ間もそのことをそこはかとなく思ひしが、つとめ先より一日の仕事を了へて帰り来て、夕餉の後の茶を啜り、煙草をのめば、むらさきの煙の味のなつかしさ、はかなくもまたそのことのひょっと心に浮び来る――はかなくもまたかなしくも。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
学校に通う伸ちゃんが朝の七時に家を出なければならないので、私達は朝の五時から起きてその用意をしなければならなかったが、伸ちゃんが学校に行って小一時間も経った頃若夫婦が起きて来る、十時頃に銀ちゃんが起きる、最後に十一時頃に大奥さんが起きて顔洗いに狭い台所を小半時間もふさいでしまう。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
「今顔洗つて直ぐ行くから、一寸待つて居て言うて呉れ――お前余計なことを喋舌らねばよかつたのに――」 彼は歯を磨きながら洗面所に行つたが、心の中では「困つたな」と思つた。
— 加能作次郎 『厄年』 青空文庫
そして私に「早う行て顔洗うてお来なはい。
— 加能作次郎 『世の中へ』 青空文庫
」「だって、十八やそこいらの女が、あんなにデレデレして夫以外の男と酒を呑めるかしら……」 帯を巻いて、ガーゼの浴衣をたたんで、下へ顔洗いに行くと、腰障子の向うに、十八の花嫁さんは、平和そうに男と手をつなぎあって転がっていた。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫