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抜殻

ぬけがら
名詞
1
標準
文例 · 用例
そうしてその出来事を想いだす時にはその暑寒の感覚はもう単なる概念的の抜殻になってしまっているようである。
寺田寅彦 青空文庫
日本の科学雑誌が色々ある、中には科学の抜殻だけを満載して中実は空虚なのもあるようである。
寺田寅彦 雑感 青空文庫
この記憶が消えてしまって、ただ漫然と魂の抜殻のように生きている未来を想像すると、それが苦痛で苦痛で恐ろしくってたまらないのです」 私は女が今広い世間の中にたった一人立って、一寸も身動きのできない位置にいる事を知っていた。
夏目漱石 硝子戸の中 青空文庫
買物かたがた」 床の抜殻は、こんもり高く、這い出した穴を障子に向けている。
夏目漱石 虞美人草 青空文庫
が、その後彼らの社会に占め得た地位と、彼らとは背中合せに進んで行く僕の性格が、二重に実行の便宜を奪って、ただ惚けかかった空しい義理の抜殻を、彼らの頭のどこかに置き去りにして行ったと思えば差支ないのである。
夏目漱石 彼岸過迄 青空文庫
ことに近頃は魂の抜殻になっちまったんだから」「そう気を腐らせないで、もう少し積極的にしたらどうです」「積極的ってどうするの。
夏目漱石 行人 青空文庫
「妾のような魂の抜殻はさぞ兄さんには御気に入らないでしょう。
夏目漱石 行人 青空文庫
燥々しながら立つて毛布をはたいた、煙草の灰が蛇の抜殻のくづるる様にちる、私は熱湯の中に怖々と身体を沈める時に感ずる異様な悪感に顫へながら強ひて落着いた風をして沈と坐つて見た。
北原白秋 新橋 青空文庫