訳入る
わけはいる
名詞
標準
文例 · 用例
そして、折にふれて、これを取り出して、独り静かにこの曲の呼び出す幻想の世界にわけ入る。
— 寺田寅彦 『秋の歌』 青空文庫
その欲望につき動かされて、わが心、ひとの心、それらの心を生む社会の密林にわけ入るのだが、今日の私たちは、少くとも、自分の諸経験を、社会現象の一つとして感じうるだけの能力は備えている。
— 宮本百合子 『作家の経験』 青空文庫
年の市線香買ひに出でばやな 芭蕉夏の月|御油より出でて赤坂や 同上早稲の香やわけ入る右は有磯海 同上 これ等の句は悉く十七音でありながら、それぞれ調べを異にしてゐる。
— 芥川龍之介 『発句私見』 青空文庫
深山と幽谷の中にわけ入るような気分があって、心がなんとなく勇みをなすものですから、いい気になって、園林の間を歩み歩んで行くうちにも、我を忘れて深入りをしようとするわけでもない。
— 山科の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
――万田龍之助は、親の敵を討つために、箱根の間道へわけ入ることになっている。
— 野村胡堂 『大江戸黄金狂』 青空文庫
「孤※わけ入る山」四月十四日 元住吉の野なか、車中からわたしは一羽の鵲をみとめた。
— 高祖保 『雪』 青空文庫
――「孤※わけ入る山」七月アスパラガスが、黄いろい紙屑ほどの花をつけた。
— 高祖保 『雪』 青空文庫