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銀杏形

いちょうがた
名詞
1
標準
文例 · 用例
七つ八つの泡によって鍋底から浮上り漂う銀杏形の片れの中で、ほど良しと思うものを彼は箸で選み上げた。
岡本かの子 食魔 青空文庫
年齢の見当がつかないほど萎え凋んだ蒼白い銀杏形の顔、妙に黒く澄んだ二つの眼、笑っても怒っても、先ず大きな前歯の上で弱々しく震える色褪せた唇。
宮本百合子 光のない朝 青空文庫
胴で括れて、末端が広く銀杏形に開いた女の高い踵は、恰も運命の係蹄の如く、微妙な一点で、彼女を完全に生捕ってしまったのである。
宮本百合子 美しき月夜 青空文庫
瞳のない銀杏形の眼と部厚い唇、その口辺に浮んだ魅惑的な微笑、人間というよりはむしろ神々しい野獣ともいえるような御姿であった。
亀井勝一郎 大和古寺風物誌 青空文庫
銀杏形の編笠を白の真田で腮にむすび、黒の紋服に身軽な行膝袴、草鞋鉄扇の拵えまで、すべて真新しい武芸者姿。
吉川英治 剣難女難 青空文庫
笑う時は、少し身を斜めにして、美しく染めた唇の鉄漿へ、銀杏形の扇子を当てて笑うのが、彼のいつもする癖だった。
第二分冊 新書太閤記 青空文庫
浅黄の手甲脚絆をつけ、新しい銀杏形の藺笠と杖まで、門口に出してある。
船路の巻 鳴門秘帖 青空文庫
」 むなしく夕月の果てを見送って、草の小道をもとの方へもどって来た人は、銀杏形の忍び笠の上から、さらに頬かぶりの布を顎の下でむすび、どこかの郷士らしい風采に見えるが、それは高氏の微行の姿だった。
みなかみ帖 私本太平記 青空文庫