誘出
誘出
名詞
標準
文例 · 用例
――事実でないのを確めたに就いて、我が最初の目的の達しられないのに失望したが、幸か、不幸か、浅間の社頭で逢った病者の名が、偶然貞造と云うのに便って、狂言して姉夫人を誘出し得たのであった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
別に怪しいものじゃない、自分が時々見る美しい、嬉しい夢、――いや、夢じゃない、我が心に、誘出されたものかと思う。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
世間の快楽については、何もしらぬらしい養父から、少しずつ心が離れて、長いあいだの圧迫の反動が、彼女を動もすると放肆な生活に誘出そうとしていた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
お俊は山田を甚七の所へ、誘出しさえすればいゝと、山越えに雲母阪へかかった。
— 直木三十五 『新訂雲母阪』 青空文庫
その意味は新入生と云うものは多少金がある、之を誘出して酒を飲もうと斯う云う考だろう。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
田舎の中学生の虚栄心を誘出して投書を募れば文学雑誌の経営もまた容易である。
— 一名 東京散策記 『日和下駄』 青空文庫
彼は追手の舟を湖心に近く誘出して置いて、いきなり方向を転換し、湖の東岸へとまっしぐらに走っている。
— 江戸川乱歩 『黄金仮面』 青空文庫