懐姙
ふところ姙
名詞
標準
文例 · 用例
「鶴を視て懐姙した験はいくらもある。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
こらしめのため、里へかえそうかなどと考えているうちに、あいにくと懐姙で、しかも、きょうこの大晦日のいそがしい中に、産気づいて、早朝から家中が上を下への大混雑。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
王子と、ラプンツェルの場合も、たしかに、その懐姙、出産を要因として、二人の間の愛情が齟齬を来した。
— 太宰治 『ろまん燈籠』 青空文庫
去年の桜田事変以来、世の中はますますおだやかならぬ形勢を見せて来たが、近江屋一家には別条なく、井戸屋にもなんの障りもなく、ここに一年の月日を送って、その年の暮れにお妻は懐姙した。
— 岡本綺堂 『経帷子の秘密』 青空文庫
『経律異相』四五には牧牛児あり常に沙門の経|誦むを歓び聞く、山に入りて虎に食われ長者の家に生まる、懐姙中その母能く経を誦む、父この子の所為と知らず鬼病と為う、その子の前生に経を聞かせた僧往きて訳を話しその子生れて七歳道法ことごとく備わった大知識となったとある。
— 虎に関する史話と伝説民俗 『十二支考』 青空文庫
そういうと、きっと誰方でもこの余り意外な出来ごとのために、目を丸くなさることだろうと思うが、妾の懐姙は最早疑う余地のない厳然たる事実なのである。
— 海野十三 『三人の双生児』 青空文庫
さらに驚くことは、この懐姙した胎児について、誰がその父親であるのか、妾には全く見当がつかないことである。
— 海野十三 『三人の双生児』 青空文庫
妾は男を相手にして、懐姙の原因をつくるような行いをしたことは一度もないのだ。
— 海野十三 『三人の双生児』 青空文庫