愛憐
あいれん
名詞
標準
文例 · 用例
「愛憐詩篇」の中の詩は、すべて私の少年時代の作であつて、始めて詩といふものをかいたころのなつかしい思ひ出である。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
「愛憐詩篇」と「郷土望景詩」とは、創作の年代が甚だしく隔たるために、詩の情操が根本的にちがつてゐる。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
西暦一九二五年夏東京の郊外にて著者愛憐詩篇夜汽車有明のうすらあかりは硝子戸に指のあとつめたくほの白みゆく山の端はみづがねのごとくにしめやかなれどもまだ旅びとのねむりさめやらねばつかれたる電燈のためいきばかりこちたしや。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
げにそのひとの心をながれるひとつの愛憐そのひとの瞳孔にうつる不死の幻想あかるくてらされまたさびしく消えさりゆく夢想の幸福と、その怪しげなるかげかたち。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
神は貴族とエゴイストとを罰するために彼等の心から愛憐の芽生をぬき去つた。
— 愛の詩集の終りに 『愛の詩集』 青空文庫
兜は愛憐を籠め、鎧は情懷を抱く。
— 泉鏡花 『月令十二態』 青空文庫
機会宮沢賢治恋のはじめのおとなひはかの青春に来りけりおなじき第二神来は蒼き上着にありにけりその第三は諸人の栄誉のなかに来りけりいまおゝその四愛憐は何たるぼろの中に来しぞも
— 宮沢賢治 『機会』 青空文庫
――少くともかかる葛藤を母に惹起させる愛憐至苦のむす子が恨めて仕方がなかった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫