幻辞.com

橋杭

はしぐい
名詞
1
標準
文例 · 用例
工事七分という処で、橋杭が鼻の穴のようになったため水を驚かしたのであろうも知れない。
泉鏡花 絵本の春 青空文庫
「なんだろう」 虫ではない、確かに鳥らしく聞こえるが、やっぱり下の方で、どうやら橋杭にでもいるらしかった。
泉鏡花 海の使者 青空文庫
橋杭ももう痩せて――潮入りの小川の、なだらかにのんびりと薄墨色して、瀬は愚か、流れるほどは揺れもしないのに、水に映る影は弱って、倒に宿る蘆の葉とともに蹌踉する。
泉鏡花 海の使者 青空文庫
が、いかに朽ちたればといって、立樹の洞でないものを、橋杭に鳥は棲むまい。
泉鏡花 海の使者 青空文庫
たちまち群集の波に捲かれると、大橋の橋杭に打衝るような円タクに、「――環海ビルジング」「――もう、ここかい――いや、御苦労でした――」 おやおや、会場は近かった。
泉鏡花 開扉一妖帖 青空文庫
その橋の上に乗りたるよう、上流の流れ疾く白銀の光を浴び、蜿りに蒼みを帯びて、両側より枝|蔽える木の葉の中より走り出でて、颯と橋杭を潜り抜け、来し方の市のあたり、ごうごうと夜深き瀬の音ぞ聞えたる。
泉鏡花 照葉狂言 青空文庫
また、かろうじて橋杭にしがみついて、濁流に押し流されまいと戦っているようなのもある。
寺田寅彦 柿の種 青空文庫
舷を横に通って、急に寒くなった橋の下、橋杭に水がひたひたする、隧道らしいも一思い。
泉鏡花 悪獣篇 青空文庫