猜
猜
名詞
標準
文例 · 用例
愚劣にも私は、彼の「聰明さ」についてくだらない猜疑をした。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
必要もない肩を張つたり、無意味な猜疑の眼を向けたり、馬鹿げた警戒をしたりしてゐた。
— 萩原朔太郎 『芥川龍之介の死』 青空文庫
頼朝だって、ただ猜疑心の強い、攻略一ぽうの人ではなかった。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
必ず第三者の牽制やら猜疑やら嘲笑やらが介入するもののようである。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
ほんとうの青年は猜忌や打算もつよく、もっと息苦しいものなのに、と僕にとって不満でもあったあの水蓮のような青年は、それではこの青扇だったのか。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
淺ましい野心と嫉妬と猜疑とがあつた。
— 南部修太郎 『修道院の秋』 青空文庫
前から居る下役の媽々ども、いずれ夫人とか、何子とか云う奴等が、女同士、長官の細君の、年紀の若いのを猜んだやつさ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
刀ものは持合せました、と云って、鞘をパチンと抜いて渡したのを、あせって震える手に取って、慳相な女親が革鞄の口を切裂こうとして、屹と猜疑の瞳を技師に向くると同時に、大革鞄を、革鞄のまま提げて、そのまま下車しようとした時であった。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫