矢立
やたて
名詞
標準
portable brush-and-ink case
文例 · 用例
茨木君は途々腰に挟んだ矢立から毛筆を取り出して、スケッチ画帖に水墨の写生をされた。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
私が、矢立の筆を動かしていると、主人はそこらに転がっていた出来損じの新らしい灰吹を持って来て巻煙草を燻らしながら、ぽつぽつ話をする。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
「ここを写生しとき給え」と主人が言うので、私は矢立を取出したが、標本的の画ばかり描いている私にはこの自然も蒔絵の模様のようにしか写されないので途中で止めてしまった。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
何卒お硯を拝借お許し下されませい」「何、歌を詠んだ……」 松倉十内は不審の面もちで背後の矢立を取って与えた。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
それでいて、腰の矢立はここのも同じだが、紺の鯉口に、仲仕とかのするような広い前掛を捲いて、お花見|手拭のように新しいのを頸に掛けた処なぞは、お国がら、まことに大どかなものだったよ。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
その用心のために、古風の矢立などを持参してゆく人もあった。
— 岡本綺堂 『温泉雑記』 青空文庫
時には古雛を買ひ集めてみたり、時には筆矢立を漁り歩いたり、奇抜だつたのは昔の千両箱の蒐集であつた。
— 岡本かの子 『小町の芍薬』 青空文庫
東は十和田湖の西より北走する津軽半島の脊梁をなす山脈を限とし、南は羽後境の矢立峠・立石越等により分水線を劃し、西は岩木山塊と海岸一帯の砂丘(屏風山と称す)に擁蔽せらる。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
作例 · 標準
旅の途中で、彼は矢立を取り出し、美しい景色を詩に書き留めた。
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江戸時代の文人は、常に矢立を携帯していた。
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昔の書生は、どこへ行くにも矢立を腰に下げていた。
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標準
quiver (archery)
作例 · 標準
弓道家は、矢立から一本の矢を素早く取り出した。
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戦場で矢立が空になるまで矢を放ち続けた。
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訓練された兵士は、矢立から矢を取り出す動作も無駄がない。
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ウィキペディア
矢立(やたて)武士が矢を入れて携帯する装備。箙も参照。 筆と墨壺を組み合わせた携帯用の筆記用具一式。(後述)
出典: 矢立 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0