鱓
うつぼ異読 ウツボ
名詞
標準
moray (eel) (Gymnothorax kidako)
文例 · 用例
室へ戻って、友人にハガキを書いていると、富士の雲が引いて取ったように幕を明け、銀磨きの万年雪が、巨獣の斑紋のように二筋三筋キラリと光って、夏の富士にして始めて見るところの、威嚇的な紫色が、抜打に稲妻でもひらめかしそうに、うつぼつと眉に迫って来る。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
私は最早、そのようなひまな遊戯には同情が持てなかったので、君も悧巧になったね、君がテツさんに昔程の愛を感じられなかったなら、別れるほかはあるまい、と汐田の思うつぼを直截に言ってやった。
— 太宰治 『列車』 青空文庫
朽ちばめるうつぼばしらに、憂鬱の、あな父なし兒、蛞蝓はふとむくめきぬ。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
――ひとりうつぼ柱にうつけたる歌の占象。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
蝙蝠はうつぼ樹に、膜か味甞むる。
— 薄田淳介 『白羊宮』 青空文庫
落ちついて読書、生きてゐるよろこびを感じる、飛躍前の興奮を感じる、うつぼつとして句作衝動が沸き立つ。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
就中夏枯草(うつぼ草、全く漢種のごとし)萱草(わすれ草、深黄色甚多し)最多し。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
私が、全く酒色に溺れ、とうとうある廓の女と懇ろになつたのは、真に叔父にとつては思うつぼでした。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
作例 · 標準
例句